ブレースアングルとオフセットリムとイソパルス

より良いホイールを探している全ての方へ

株式会社マツシマ板橋支店の宮川昂平(みやかわこうへい)と申します。

今回はブレースアングルとオフセットリムという用語を説明します。

ブレースアングル

まずはブレースアングルから。

ブレースアングルを絵にしてみました。ホイールの上半分を後から見ている絵です。現実には左右のスポークは千鳥配列という右と左が交互にずれて取り付けられていますが、絵の都合で、同一直線上に並べています。左右のそれぞれのスポークと、ホイールの中心線によってできる角のことをブレースアングルと呼びます。
さらにホイールの中心と左右スポークか成す角をブレースアングル左と右と名前を付けます。(以下Bl、Br)
ロードバイクの場合、リアホイールにはフリーボディがありますので、BlとBrの大きさはBrが小さくなります。

BlとBrの大きさはBrが小さくなります。
↑ これが重大な問題なんです。

例えば、以前に例として挙げた、ピストの両切りハブというのは左右対称ですから、Bl=Brとなります。
(厳密にはハブも力がかかれば歪むのでトルクがかかると左右のフランジにわずかなねじれが起きるはずですが)
左右のスポークがバランスよくリムを引っ張ることができます。
しかし、ロードではスプロケットを取り付ける都合でフリーボディが必要なので、左右のブレースアングルが同じにはなりません。
駆動時のトルクがハブフランジに伝わっても左右のスポークは同じ力でリムを引っ張ることができません。
斜めに引っ張る左側より、垂直に近い右側が強くなります。
この引っ張る力の差が、トルクの伝えやすさの左右差を生みます。
スポークパターンが左右で同じであっても、左右のブレースアングルが異なるので、左右スポークがリムを引っ張る力に差が生まれます。
この差がリムを左へヨレさせるのですが、これをヨレと呼ぶかタメと呼ぶかはライダー次第で、ホイールの好みとして表れてきます。

これを踏まえて、頭の中をイソパルスに切り替えてください。
イソパルスの場合は右側のスポークがラジアルですから、フランジのてっぺんからリムに向って伸びることになります。
わずかにではあるものの、Brが大きくなるのでBlとBrの差が小さくなるようになっています。
Brが大きくなればトルクの伝えやすさが減ります。右側のトルクの伝わりやすさを減らす工夫がされています。

そして、キシリウムエリートに施された工夫がもうひとつ・・・
オフセットリムです。
オフセットリムとはスポーク・ニップルの通し穴がリムの中心からずらしてあるリムのことです。(下図参照)
キシリウムエリートの他にも、他社のリムブレーキのリアホイール、ディスクブレーキのフロント・リアに使われます。

オフセットリム

ねじれ強さの左右差を考えると、左右のブレースアングルは等しいことが理想的ですが、ロードバイクのリアホイールでは、フリーボディが幅を取りますから、左右のブレースアングルをそろえようとすると、左側のフランジをホイールの中心軸に寄せる事になります。(図4のBlを小さくしてBl=Brにする)
左右のフランジがハブセンターから等間隔で、スポークが左右で同じ(断面・材質)ならば、スポークテンションも揃いますから、ねじれ強さの差がなくなってばっちり・・・ではありません。
そのフランジ幅40mm程度のホイールを作ったところで、左右のブレースアングルの合計が小さいので、横剛性に問題ありのホイールになります。
(スポークテンションの左右差と加速感の記事の例)

結局のところ、よく走るホイールに仕立てるには、左右のブレースアングルを減らしてはいけません。
そこでオフセットリムをつかうのです。過去の記事でオフセットなしのリムの図をかきましたが、その図で示した、左のブレースアングル(Bl)をへらして右のブレースアングル(Br)に加えることができます。
オフセットリムを使うことで、Bl’<Bl、Br<Br’となり、ブレースアングルの左右差を軽減することができます。(上図参照)
キシリウムエリートでは、イソパルスとオフセットリムを組み合わせ、ブレースアングルの左右差が最も少なくなるよう、ものすごい工夫がされています。
10万円付近で、かかりの良い・ヨレの少ない完組ホイールをお探しのかたは、キシリウムエリートをおすすめします。
この工夫は専用設計のパーツの組み合わせですから、これを丸パクリしてハンドビルドホイールに流用することはできませんが、この考え方は、非常に利用価値の高いものです。

大事なことをまとめます。
・ブレースアングルを小さくすると横剛性が弱くなる。
・イソパルスは右側がラジアルなので、Brが大きくなる。
・オフセットリムはブレースアングルの左右差を軽減することができる。
・キシリウムエリートはイソパルスとオフセットリムを組み合わせ、横剛性(*1)と駆動剛性(*2)を両立している。

(*1 横方向の力がかかった時の歪みにくさ)(*2 トルクがかかった時の歪みにくさ)

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