ハンドビルドホイールに施せる工夫

より良いホイールを探している全ての方へ

株式会社マツシマ板橋支店の宮川昂平(みやかわこうへい)と申します。

右側のスポークの対頂角を小さく、左側のスポークの対頂角を大きくする。オフセットリムを使う。
この3つに加えて、ハンドビルドホイールに施せる工夫2つについてのお話です

その2つとは、リアホイールやディスクブレーキホイールのように、ブレースアングルが左右非対称になるホイールを組む場合、
・左右のスポークの形状を変える。
・スポークの対頂角の交点を、針金で縛った上にハンダ付けする。(ソルダリングと言います)
言葉にするとこうなります。

順番に解説いたします。
・左右のスポークの形状を変える。
これは一部の完組ホイールに使われていることがあり、何のためだろうと検証してみて、その意図を私なりに解釈しました。
リアホイールを例とします。
左右のスポークの太さを、ブレースアングルの小さい右側を太く、反対に左側を細くすることで、左側のスポークをより張れるようになります。
検証の方法は、左右ともに直径2.0mmのスポークでタンジェント組されているホイールを用意して、左右のスポークテンションをテンションメーターで記録します。

スポークテンション・・・スポークがどのくらいの強さで張られているかを数値化したもので、リムやスポークそれぞれに上限が定められている場合があります。
テンションメーター・・・スポークのテンションを計測する道具です。これのおかげで、今どのくらいの強さでスポークが張られていて、あとどれくらい張ってよいのかがわかります。

記録を終えたら、左側のニップルだけを緩め、スポークを取り除きホイールの左半分を分解します。
そこへ、DTコンペティションのようなスポークの中央が細い(両端は2.0㎜で中央だけ1.8㎜になっている)スポークで組みなおします。ここで、最初に測っておいた左側のスポークテンションになるまで左側のニップルをしめてスポークを張ります。
その時、リムの位置はホイールのセンターではなく、右側にずれています。
リムが右側にずれているので左側のニップルをさらにしめてリムをセンターへ動かします。
そうすると、組み替える前のスポークテンションよりも高いスポークテンションで左のスポークを張ることができます。
元々左側のスポークテンションは低いので、左側のスポークテンションが上げられることはとても大事なことです。

・スポークの対頂角の交点を、針金で縛った上にハンダ付けする。(ソルダリングと言います)
次はこちらです。「ハンダ付け」(英語でソルダリング)という金属同士をくっつける方法を使ってスポークの対頂角の交点を縛って動かなくします。
身近な例では(実際に見ることは少ないですが)スマートフォン等の電子機器の基板に電子部品をくっつけるのは、ハンダづけ・ソルダリングによって行われています。

ソルダリングの例
ソルダリング拡大

写真はソルダリングの実例です。針金をスポークの対頂角の交点に巻いて両端を結び、ハンダで固定します。
そうすることで、対頂角の交点が動かなくなります。

その効果ですが、お客様より頂いた感想として、ホイールが坂でもよく走るようになった。反応性が上がった。というお言葉を頂きます。

その理由として、私が考えたことは次の2つです。
・対頂角の交点でスポークを固定するので、ソルダリングされた交点からハブの間のスポークは変形しづらくなる。
・スポークが変形しにくくなることで、スポークがより効率よくリムにトルクを伝えられる。

上の写真のスポークは長さがおよそ300㎜のものです。ソルダリングを行った交点からニップルまではおよそ240㎜です。
ソルダリングなしだと300㎜のスポークが変形すると考えられますが、ソルダリングを行えば残りの240㎜分のスポークだけが変形すると考えられます。
同じ太さのステンレスの棒があって、長さが300㎜と240㎜だったら240㎜の方が曲げにくそうな感じ・・・しませんか?

私はリアホイールの左側のみソルダリングを行います。(ディスクブレーキホイールの場合はフロントの右側も)
また、リアの左側のスポークには、サピム社のCX-RAYというエアロスポークをほぼ100%使います。このスポークは両端は直径2.0㎜ですが、中央は楕円状に加工されておよそ2.3×0.9㎜の形状になっています。
ホイールの回転方向に2.3㎜の形になりますから、このスポークをソルダリングすることで左側のスポークがトルクに対してねじられ強くなり、ホイールの駆動剛性が向上しているのではないかと考えています。

大事なところをまとめます
・ブレースアングルが左右非対称になるホイールの左右のスポークの形状を変えることで、スポークテンションを高くすることができる。
・ソルダリングを施したホイールは、ライダーに坂が上りやすくなったり、反応が良くなる印象を与える。

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